助産師さんに聞くデリケートゾーンケアQ&A

第一線で活躍される 助産師の布施 明美さんに、
「デリケートゾーンのケア」について教えていただきました。

医療法人産育会 堀病院看護部長
助産師/認定看護管理者

布施 明美さん

1980年より神奈川県立病院、母子保健センター、県立看護専門学校3校で母性看護学教員、2014年神奈川県立こども医療センター母性病棟、NICU病棟看護科長2017年周産期センター副センター長・副看護局長2020年堀病院看護部長

  • 日本助産師会総務理事
  • 神奈川助産師会副会長
  • 事故調査委員会再発防止委員
  • 日本助産評価機構理事



Q. なぜ、デリケートゾーンのケアが必要なのですか?

A.

膣周りはいつも細菌にさらされやすく、排泄物や汚れなど老廃物(恥垢)が複雑な構造の小陰唇に溜まりやすいため、しっかり洗浄する必要があります。
デリケートゾーンはpH値が3.8~4.5と弱酸性で、皮膚の中でも敏感なところです。
膣粘液が清潔を保ち病気を防いでいます。
弱酸性の部位であるデリケートゾーンは使用するソープによっては常在菌を減少させる可能性があります。
また、肌の一部である為、乾燥もしやすいい状態にあるので、保湿をする必要もあります。

 

Q. 何歳からデリケートゾーンケアを始めるのがいいですか?

A.

デリケートゾーンが大人の形になる生理が始まった頃から、ケアを始めるのが理想です。

 

Q. デリケートゾーンケアって毎日するのですか?

A.

デリケートゾーンは毎日排泄があり、汚れが溜まりやすい部位なので1日1回ケアをしましょう。
逆に洗いすぎてしまうと負担がかかり黒ずみやニオイの原因ともなります。
1日1回お風呂に入った時に優しく洗ってあげましょう。

 

Q. なぜ、デリケートゾーンが乾燥するのですか?

A.

デリケートゾーンも肌の一部の為、乾燥します。
下着、ナプキン、ライナーなどの摩擦も加わり、ムレ、かゆみ、炎症が起こります。
保湿をして、お肌のコンディションを整えることでトラブルの予防になります。


さらに、女性ホルモンと深い関係があるので、年齢とともに乾燥が増強し、代謝機能が落ち、くすみ※やすく、ハリが低下します。
顔と同じ感覚でお手入れをしてください。
生理中は肌質が敏感になっており、ナプキンなどがスレて皮膚は炎症を起こしやすくなっています。
炎症後の肌は乾燥が起きやすくなります。

 

Q. 「乾燥のサイン」はありますか?

A.

サインはかゆみ、におい発生、かぶれ、違和感です。
女性器は顔と同じ年齢の肌状況です。
お顔のお手入れと同様にお手入れをしましょう。

 

Q. 閉経後もデリケートゾーンのケアを行ったほうがよいですか。

A.

閉経後の女性の27~84%の方が、デリケートゾーンに何らかの不快感があると報告されています。
理由は、女性器は加齢とともに変化し、血管が委縮し潤いがなくなったりコラーゲンが減少し萎縮を起こすため粘膜へ影響し、弾力もなくなり固くなります。


また、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが加齢により低下し、バリア機能も低下するので膣の中も乾燥やかゆみが出現します。
乾燥すると自力で細菌を排除したり、膣内を浄化する自浄作用が落ち、その結果、雑菌が増えやすくなり、ニオイも変化します。


人によっては、40歳頃よりGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)の症状として、デリケートゾーンのかゆみ・痛みが起こりやすくなるので、日々のケアが大切になってきます。

 

Q. 現代女性におすすめのデリケートゾーンケア方法を教えてください。

A.

顔のお手入れと同じように、洗ったあとはしっかり保湿をすることが大切。
保湿することで乾燥によるくすみ対策につながります。

• 石鹸でデリケートゾーンを清潔に洗い流す(石鹸は泡をたっぷりと立ててください)。
• クリームやジェルで保湿する。
• オイルマッサージで保湿や柔軟性にアプローチする。
• 普段からウェットティッシュで摩擦を防ぎ、清潔な状態を維持する。
•下着は吸湿性の高い綿や絹を着用する。